第68話 秘薬の情報
ユウヤとイザナミが修行を初めて一週間が経とうとしていた。
初日で木刀にひびが入ることは無くなったが、木刀への負荷が無くなったわけではなく少なくなっただけのため、同じ木刀で岩を三つ悪頃には折れてしまった。
二日目で木刀の負荷を減らし、一本で岩を十数個割れるようになった。
日に日に木刀への負荷を減らし、五日目では一日岩を割り続けても折れることが無くなった。
修行を初めて六日目、ユウヤは足の向きの違いや腕の角度、手首の使い方、呼吸のリズムまでイザナミに言われたことを細かく意識しながら木刀を振り下ろした。
ユウヤの振り下ろした木刀により岩は割られた。
最初のころと違い砕けて小さなかけらが飛び散ることはなく、断面は荒いが真っ二つに割れていた。
「ようやくここまで来たか」
「はい、後少しですね。これなら明日には綺麗に斬れるでしょう」
「本当に一週間で斬れるようになるとはな」
「ユウヤは剣の才は無いですが、器用なようで細かい動きの調整もすぐに出来るようになってくれるので助かります」
「まあ、意識しないときついけどな」
「そのうち慣れますよ。魔力操作と同じで反復して体に覚えさせれば意識しないでも出来るようになります」
「そうなるように頑張らないとな」
「それでは今日はもう帰りましょうか」
「ああ、そうだな」
ユウヤはイザナミと一緒に建物に戻り、いつもと同じように一緒に夕食を作って食卓に着いた。
いつものように二人で話しながら食べていてユウヤはイザナミに気になったことを聞いた。
「そういえば、秘薬ってどんなもの何だ?前に水って言ってが、一体秘薬って何なんだ?」
「秘薬のことを知っているんじゃないの?」
「病気を治すってくらいしか知らない」
「それだけで秘薬を探しにこんなところまで来たの?」
「ああ、実在するって話は聞いてたから」
「呆れたものね」
イザナミはユウヤの言葉に呆れてため息をついて秘薬の説明を始めた。
「秘薬は自然の生んだ奇跡の水が正しい表現かしら」
「奇跡の水?人が作った物じゃないのか?」
イザナミの言葉にユウヤは首を傾げて問いかけた。
「ええ、秘薬の名前は神水。強い霊力を持った精霊が多くいる山の地下の湧き水よ」
「その山ってどこにあるんだ?」
「それは修行が終わったら、教えてあげるわ」
「なんだよ。教えてくれてもいいだろ」
「私より強くなることが教える条件って言ったでしょ」
「はあ、分かりましたよ」
ユウヤは軽くため息をついて肩を少し落として食べるのを再開した。
「けど、強い霊力を持った山ならどこでも湧くのか?」
「湧く可能性はあるけど、どうして強い霊力を纏っている山から秘薬が湧くのか細かい条件までは分かってないから何とも言えないわ」
「つまり、強い霊力を纏った山でも湧かないこともあるのか」
「強い霊力が込められた水であることに違いはないけど、薬としての効果があるとは言えないわね」
「つまり、湧く場所は限られてるってことか」
ユウヤは少し目を細めて手元見ながら、秘薬の情報を得るために明日からの修行もさらに気合を入れて頑張ることを誓った。
「そういえば、今の修行が終われば次は何をするんだ?」
「少し気が早い気もするけど、まあいいわ。岩を切れたら次は手刀で岩を斬ることね」
「手刀で岩を斬るってまじでか」
「ええ、木刀の時と同じサイズの岩を手で同じように斬ってもらうわ」
「つまり、手で木刀と同じことを出来るようになるのと、斬撃の範囲を広げるのが目的か?」
「そうよ。理解が早くて助かるわ」
ユウヤの問いに微笑んで返すイザナミを見てユウヤは頬を少し引きつらせた。
「ちなみに、期間はどれくらいなんだ?」
「ん~、流石に一ヶ月はかかるかな」
イザナミの答えにユウヤは少し安心して息を軽く吐いた。
(流石に、そんな簡単ではないか)
「まあ、二年しかないから、かなり厳しめに教えてるからすぐに強くなれるわよ」
「俺からしたら二年であんたより強くなるのは難しいと思うけどな」
「そんなことはないわ。身体能力はほぼ互角、私の技術を一年で叩き込めば対等に渡り合うくらいは出来るはずだから」
「それが一年で出来る気がしないって言ってるんだが……」
「なんとかなるわよ」
呆れながら言うユウヤにイザナミは相変わらず微笑みながら返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます