第74話 お祭りの片付け
イザナミの奉納の舞が終わったことで、お祭りは終わりレティシア達はユウヤと別れていつも泊っている宿に帰った。
ユウヤはレティシア達と別れた後に、片付けをしながら商品を売っていた屋台で食べ物を買い建物に戻った。
建物の中では髪飾りなどを外し、手伝いに来ていた巫女にお礼を言っていた。
巫女たちはイザナミに一礼して帰っていった。
巫女が帰ったことを確認してユウヤはイザナミに話しかけた。
「無事に終わったみたいだな」
「ええ、今年も無事に終わったわ」
「たまに見た練習の舞より良かったよ」
「まあ、あの舞は真剣と松明の光があってこそだもの」
「そうみたいだな。光を反射を考えた刀の角度や体の向きだったわけか」
「ええ、ユウヤはお祭りを楽しめた?」
イザナミはユウヤに言いながら、ユウヤが手に持っている物を見て少し微笑んだ。
「ああ、久しぶりに仲間と話せたしな」
「そう良かったわね」
「あと、これ。イザナミは屋台の料理食べてないだろ」
イザナミはユウヤに差し出したが屋台の食べ物を見て目を少し見開いた。
「私に?」
「いらなかったか?」
戸惑っているイザナミにユウヤが首を傾げ聞き返すと、イザナミはいつもの優しい微笑みを浮かべて首を横に振った。
「ありがとう。一緒に食べない?」
「俺は食べたからあまりいらないぞ」
「私も舞の前に少し食べたから、全部食べ切れないと思うから」
「そうか。じゃあ、少し貰うよ」
「飲み物の用意をして食べましょ」
「そうだな」
二人はいつもの居間に向かい買った食べ物を机の上に並べ、イザナミが台所からお茶を入れて持って来た。
「食べましょうか」
「ああ」
二人はイザナミが用意したお茶を飲みながら屋台の料理を分けて食べた。
食べ終わると、少し休憩してそれぞれに風呂に入り眠りについた。
次の日の朝、ユウヤはいつもより早い時間に起きてイザナミが起きる前にいつも修行をしている裏庭に移動した。
朝が早く日が昇っていないため、薄暗い中でユウヤは深呼吸して昨夜のイザナミの舞を思い出しながら、剣術の組み合わせの候補として考えていた組み合わせを一つ一つ試し始めた。
ユウヤは候補を試してみて一部改良して試しながら組み合わせを作り上げた。
「や、やっとできた。これが一番しっくりとくるな」
ユウヤが荒い息を落ち着かせて建物に戻ると、イザナミが起きて朝食の準備をしていた。
「おはよう。組み合わせは決まったの?」
「え?……決まったが、なんでわかったんだ?」
「いつも私と同じくらいに起きるのに今日は起きて来るの遅かったでしょ。それに少し汗かいてるから、朝早くから練習してたんでしょ」
「よくわかってるみたいだな」
「さあ、早く座って食べましょ。今日は片付けがあるから」
「そうだな」
イザナミに言われてユウヤはいつも通りに座り、朝食を食べて少し休憩した。
朝食を食べて休憩すると、二人は屋台が並んだお祭りの会場に向かった。
会場につくとすでに数人の村人が来ていて、片付けを始めていた。
「早いな」
「片付けは時間を特に決めてないからね」
「なるほどな。俺も手伝ってくるよ」
「私も手伝いに行くわ」
二人はすでに片付けを始めている人たちに近づいて声をかけた後に片付けを手伝った。
二人が手伝っていると、村の人達が集まって来た多くの人達と一緒に会場の片付けを行った。
会場の片付けは昼少し前に終わり、村の人達は挨拶をしてから帰っていった。
村の人達が帰るのを見送った後、ユウヤとイザナミは階段から村を見下ろすのをやめて建物に向かって歩き始めた。
「昼食を食べた後、何かすることあるか?」
「いえ、無いわよ」
「じゃあ、昼食食べて少し休んだら剣技を少し見てくれないか?」
「いいけど、今日は少しだけよ」
「組み合わせを見て欲しいだけだ」
「ならいいけど、たまにはしっかりと休まないとだめよ」
「分かってるよ」
ユウヤは母親のようなことを言うイザナミに少し呆れて苦笑いをしながら建物に入り、二人で雑談をしながら昼食の準備を始めた。
昼食の作り終え居間に料理を運んで、いつものように座布団に座って昼食を食べた後は少しの間雑談をして休憩をした。
ある程度休憩して二人とも食器を台所に運び皿洗いをした後、いつも修行をしてる裏庭にユウヤは刀を持って出た。
ユウヤは裏庭に着くとイザナミから距離をとって刀を抜いた。
「それじゃあ、今からやるから直した方がいい場所があったら教えてくれ」
「分かったわ」
ユウヤは刀を構えて深呼吸をして集中力を高め、イザナミはそんなユウヤの動きを見逃さないようにしっかりと見つめた。
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