第4話 勇者と魔王と玉座
完全にコケにされて、悔しそうにしている魔王を他所に俺は、どこか休めそうな場所を探す。
いい加減魔王とのやり取りも飽きてきたし、何より……俺は本当に疲れていたのだった。
「あ」
と、手頃な場所にあった椅子に俺は腰掛ける。流石にここまでほぼノンストップで旅を続けてきて疲労があるようだった。
「お、おい! お主、どこに座っておるんじゃ!」
と、いきなり血相を変えて魔王が怒り出した。
「え? どこって……椅子ですけど」
「それは、ただの椅子ではない! 魔王だけが座ることを許された玉座じゃ! 勝手に座るな!」
魔王は怒っているが俺はジッと魔王のことを見る。俺がずっと見ていると魔王は少し気弱な表情を浮かべる。
「アナタ、今はもう俺の下僕ですよね? 魔王じゃなくて」
「なっ……! そ、それは……」
「もし、この椅子を返してほしいなら、力ずくで取り返せば良いのでは?」
俺がそう言っても魔王は悔しそうに歯ぎしりするはずだった。まぁ、ここまで言っても反撃してこない辺り、本当に俺にかなわないのだろう。
そう考えると急に眠くなってきた。俺は目を閉じる。
「お、おい! 何勝手に眠ろうとしておるのじゃ! そこはベッドではないぞ!」
うるさい声が聞こえてきたが無視した。眠りに落ちながら俺は考える。
結局、転生しても、大して面白いことなかったな……と。
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