第95話 勇者と魔王と協力
「ドラコ! 無事じゃったか!」
と、姿を確認すると同時にマオはドラコの方に駆け寄っていく。
「マオ、ソーマ。なんで、ここにいる?」
不思議そうな顔でそう訊ねるドラコ。
「……アナタが勝手にいなくなったからですよ。で、どうしてここにいるんです?」
俺がそう言うとドラコは申し訳無さそうに俯いてしまう。まぁ、聞かなくてもすでにわかっているのであるが。
「ドラコよ、お主は……このオークの集落に、伝えに来たのではないか?」
マオにそう聞かれ、ドラコは少し躊躇っていたが、黙ったままで小さく頷いた。
「やはり、そうか……うむ。そういうことなら、儂も協力しようではないか!」
……なんだか、またポンコツ魔王がとんでもないことを言い始めたようである。
「……あの、アナタ、一体何を言い出すんですか?」
俺がそう言うとマオは当然だという顔で俺のことを見る。
「儂は魔族の王じゃぞ? 人間か、魔物か……どちらの味方をするかとなれば、当然魔物に決まっておるじゃろうが」
得意そうな顔でそう言うマオ。
「つまり……アナタもドラコに協力して、ここのオーク達に、人間達の討伐計画を話す、と」
「うむ! その通りじゃ!」
マオがそう言うとドラコは嬉しそうにマオに抱きつく。
「マオ、ありがとう」
「フフッ……良いのじゃ。儂は当然のことをしておるのじゃからな」
そう言うとマオはなぜか俺の方を見てくる。
「して……当然、ソーマも協力してくれるんじゃよな?」
「……は? しませんけど」
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