第44話 勇者と魔王とサキュバス

「……何をしているのですか?」


「ハァ……す、すいません……で、でも……ハァ……抑えられないのです……」


 シスターはなぜか異様に興奮している表情だった。先程までシスターの見た目は、清楚そのものの女性という感じで、いきなりこんなことをしてくるのは予想外だった。


「抑えられない? アナタは……」


 と、俺が最期までい終わらないうちに、シスターはすごい力で俺をベッドに押し倒した。


「あぁ……ごめんなさい……でも、私にはどうにもできないのです……!」


 シスターの目は……完全に本気だった。このままだと俺はシスターに襲われてしまう。


 ……正直、シスターは美人だったし、そういうことをされるのも嫌な気分ではないが、俺は見つけてしまった。


 シスターの頭部に、小さいものではあるが、小さな角が生えているのを見つけてしまった。


 それは、間違いなく、マオと同じ魔族であることを示す角であった。


 俺は今一度、スキル「鑑定」を使用する。


 シスターの種族は、先程は人間と判定されていたが……今度は違っていた。


「アナタ……サキュバスですか」


 俺がそう言うとシスターは少し驚いた顔をして、首を横に振る。


「ち、違います! 私は、確かに今はサキュバスですが……元々は違うのです!」

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