第43話 勇者と魔王と抱擁

「こちらがソーマ様のお部屋となります」


 そう言ってシスターは、マオと同じような部屋を俺に案内してくれた。


 久々にあの我儘魔王と別々の部屋で寝られると思うと、少しホッとしてしまう。


「ありがとうございます。では、今日はこれで」


「……あ、あの、ソーマ様……」


 と、シスターは思いつめた様子で口を開く。それと共になぜかシスターは部屋の扉を閉めた。


「はい? 何か?」


 俺は反射的に警戒しながら、シスターに訊ねる。


「そ、その……ソーマ様は……その……マオ様とお付き合いしているのですか?」


 いきなりとんでもないことを聞かれた。俺はさすがに驚いてしまった少し言葉を失う。


「……いえ。そういう関係ではありません」


「え……そ、そうなのですか?」


「えぇ。俺は魔……マオを、事情があって、王都まで連れていかなければいけないのです」


 思わずマオのことを、魔王と言ってしまいそうになって慌てて言葉を飲み込む。


「そ、そうなのですね……ふ、ふふっ……」


 と、なぜかシスターはいきなり笑い出した。


「え……シスター? どうかしましたか?」


「じゃあ……我慢しなくてもいいですよね?」


 そう言うとシスターは……いきなり俺に抱きついてきたのだった。

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