第43話 勇者と魔王と抱擁
「こちらがソーマ様のお部屋となります」
そう言ってシスターは、マオと同じような部屋を俺に案内してくれた。
久々にあの我儘魔王と別々の部屋で寝られると思うと、少しホッとしてしまう。
「ありがとうございます。では、今日はこれで」
「……あ、あの、ソーマ様……」
と、シスターは思いつめた様子で口を開く。それと共になぜかシスターは部屋の扉を閉めた。
「はい? 何か?」
俺は反射的に警戒しながら、シスターに訊ねる。
「そ、その……ソーマ様は……その……マオ様とお付き合いしているのですか?」
いきなりとんでもないことを聞かれた。俺はさすがに驚いてしまった少し言葉を失う。
「……いえ。そういう関係ではありません」
「え……そ、そうなのですか?」
「えぇ。俺は魔……マオを、事情があって、王都まで連れていかなければいけないのです」
思わずマオのことを、魔王と言ってしまいそうになって慌てて言葉を飲み込む。
「そ、そうなのですね……ふ、ふふっ……」
と、なぜかシスターはいきなり笑い出した。
「え……シスター? どうかしましたか?」
「じゃあ……我慢しなくてもいいですよね?」
そう言うとシスターは……いきなり俺に抱きついてきたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます