第6話 ポメルひとりで情報収集にいくとゴロツキに目をつけられる

 いったい、なんなんだ、あの人は。真面目に任務をこなすつもりはあるのだろうか。

 こんなんじゃ立派に仕事をこなせない。

 わたしに期待して『鎺』へと送り出してくれた家族たちにも顔向けできない。

 空を見上げると故郷に似た大きな月が照らしていた。

 おもわず泣きそうになる。

 

 あてもなく勢いのまま飛び出してきたせいで、どこにいけばいいのかもわからず途方に暮れてしまっていた。

 気が付くといつのまにか賑やかな盛り場を外れ、しんと静まり返った裏路地へと面していた。


――な、言ったろ? 獣人に違いねえ。しかもまだガキだぜ。

――こいつぁ、高く売れそうだ。

――しっ、静かにしてろ。騒がれると面倒だ、一気に片を付けるぞ。

 耳がひくひくと反応した。話し声が遠くから聞こえてくる。声を押し殺してはいるが、わたしの耳にははっきりと聞こえてきていた。


 どうしよう、逃げようかな。

 でも、かなり近くまで来ているみたいだし。

 お師匠さんから少しくらいの護身術は教わっている。だいたい、こんなところで逃げ帰ってはサヤにまた笑いものにされる。

 人さらいをたくらむような後ろ暗いものたちだ、ちょっと懲らしめてやれば何か『劔』の手掛かりくらい知っているかもしれない。


 気配を感じ取りながら、相手にそうと悟れないように用心深く構える。

 瞬間、後ろから襲い掛かってくる気配を感じると身を翻した。

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