第8話 能力者「劔」との遭遇

 伸ばした男の手がわたしの体に触れた瞬間、男の腕から炎が上がった。


「うわ、なんだこいつ、なにしやがった」

 悲鳴をあげながら、その炎を振り払うかのように転げまわっている。


 目の前の光景に何が起きているのかわからなかった。

 わたしは何もしていない。

 

 困惑するわたしをよそに、その答えとなる言葉が聞こえてきた。

「丸焦げになりたくなかったらおとなしく下がるんだな」

 路地の奥から一人の青年がゆっくりと現れる。

 

 周囲の人間とは明らかに異なった気配、そしてその手には似つかわしくないほどの大剣が軽々と握られていた。

「なんだてめえはよ!」

 男の一人が青年を脅すように声を上げるが、青年は意に介す様子もない。


「いたいけな女の子、それも犬耳の少女が助けて、ってふるえあがってんだ、見過ごすほど俺もフラグに鈍感なわけじゃねえよ」

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