第119話 所在不明の『劔』と迫る亡者

 こいつら、あの神父の指示で動いているのか?

 しかし、これで確信した。

 

 神父は『劔』ではない。

 奴自身が力を持つのならば、こんなまどろっこしいことをするはずはない。


 ならば、どこに?

 

 悠長に考えている暇などなかった。

 これほど狭い空間で囲まれた状態ではこちらが圧倒的に不利である。神父を追いかけるにもその行く手には亡者と化した村人が迫っている。何より、奴が『劔』でないならば、これ以上相手にする理由もない。

 それよりもこの場を脱し、村に潜む『劔』を探さねばならない。

 

 白鞘を用いて斬撃を繰り出すも、穢れた亡者ネクロシスは怯むことなく、サヤを執拗に追い掛ける。もはや肉体の損傷は彼らにとっては意味のないものだ。 『蟲』の本能が彼らにそうさせるのだろう。

 決して動きは早くはないものの、数と耐久力に押されるようにサヤは壁に追い詰められていく。


(サヤさん)

 声に反応するように、サヤは周囲を見渡した。

「ポメ子!?」

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