第118話 サヤと神父3

「あなたの妄言に、村の貴い信徒たちが惑わされるのを看過することはできませんね」


 ――来るか。

 サヤは身構えた。


 この神父が、『劔』の所持者であればここで何らかの力を行使して止めに来るはず。まず何よりも『劔』の所在を突き止めることが最も優先すべきことである。

 

 だが、サヤの予想に反してそのような力がサヤに向けられることはなかった。

 こいつは、違うのか?

 サヤの疑問の虚を突くように、周囲の穢れた亡者ネクロシスがゆっくりと動き始めた。


「こいつら!」

 神父の口元がゆっくりと笑みを浮かべた。

「『蟲』にも習性があるようでしてね。色々と実験をしてみてわかりましたよ。あのハーフは実に有用な研究を私に残してくれましてね。『蟲』を意のままに扱うことができるなんてすばらしいでしょう?」


「村の人間たちだろ、こいつらは!」

「ええ、ですが。聖霊様の教えに懐疑的でしたので罰を与えました。聖霊様の教えを正しく広めるためには仕方のないことですよ」

 平然と言ってのけると、そのまま後に下がるようにして元来た道へと引き換えしていった。周囲の明かりが消える。それを合図としたかのように、穢れた亡者ネクロシスたちがサヤの方へと向かってくる。

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