第117話 サヤと神父2
「そうやって聖霊様のおかげってことにして、布教活動ってところかい? 随分と熱心なことだな」
「聖霊様の偉大さを知るには、その力をその目で見届けるのが一番よいでしょう」
「そうだな、だから『蟲』なんて存在が
サヤは『蟲』の研究について書かれた本を見えるようにかざした。
「これを書いたハーフを殺したのはあんただろ?」
神父の眉がぴくりと動いた。
「ただの背教者なら、そのまま見逃してあげてもよいと思っていましたが――」
「そんな冷たいこというなよ。こっちはわざわざ神父様のありがたいお話を聞きにきてるんだからよ。で、どうなんだい?」
「ええ、その通りですよ。よくわかりましたね」
神父はあっさりとその言葉を認めた。
「そう考えるのが自然ってもんだろ。『蟲』の存在が明らかになると困る人間なんてそう多くないだろ。ここにある研究が邪魔だったんだろ? これを村の教徒たちに伝えるとどうなるかね」
「信じると思いますか、村の外からきたあなたの話を」
「さあね、なんだったらここにまとめてご招待するってのもいいかもな」
挑発するように、彼の目を見つめた。
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