第38話 サヤの合流と野営地の炎上
ヘリオスの指示のもと、すぐに兵を集めて、プロミネンス領と王都をつなぐ街道へと向かった。
彼の率いる近衛隊はよく訓練されているのだろう。手際よく準備を進め、兵の統率も行き届いている。そこに遅れるようにして、傭兵によって組織された討伐隊のうちの半数程度が同行した。
「いったい何だってんだ? これから派手に一杯やろうってときによ。急に頭ん中に声かけてきてよ」
馬上でサヤが不平を漏らす。
「ああ、あのお金をそんなことのために!! って、そんなのんきなこと言ってる場合じゃないんですよ」
進軍の準備をしているところに呼び出されたサヤは、ポメルとともにヘリオスの近衛隊に随伴している。ポメルは振り落とされないようにサヤにしがみつきながら状況を説明した。
王国兵がどの程度の戦力を持つかはわからないが、仮にもオニを討伐するために派遣されてきた兵士たちであるはずだ。急襲を受けたとはいえ、壊滅的打撃を受けて援軍を求めるような事態が起こっているのは不可解である。
「これも『劔』の影響でしょうか」
「おそらくな、奴らは『劔』に対する世界の免疫作用みたいなもんだからな」
目的の場所に到着したときには、王国兵の野営地には既に火の手が上がっていた。
自分たちの予測が確信に近づいたことを悟り、サヤは険しい顔をしたまま、腰の白鞘に手を掛けた。
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