第13話 酒場のおっさんからの情報
「サヤさん!」
酒場中に響き渡るほどの勢いとともにドアを開けると奥の席で悠々と酒をあおる相方へと一目散に詰め寄った。
「『劔』です!」
少し周りを憚るように声を潜めてはいるものの、その興奮は冷めやらぬ様相であった。
「こんなに早く見つかるなんてわたしはツイてます」
「だろうな」
その一方で、サヤは冷めた様子でそっけない返事を返した。
「もっと驚いてくださいよ!」
「そいつは、あれだろ? 身の丈ばかりの紅蓮の大剣で炎を自在に操るとかいう男だろ?」
「え?」
「昼間に一緒に呑んだおっさんがそんな話をしてたんでな」
「えええええええ?」
「ちょうど、そこのおっさんだ」
酒瓶を小脇に抱えると、そばに座る中年の男のテーブルへと歩み寄った。
「なあ、おっさん。昼間聞いた話ってのもっかい聞かせてくれよ」
「ああ、炎の英雄の話かい」とすっかりと酔いも回って上機嫌な様子で話し始めた。
「ひと月前くらいのことだったかな。俺が街の外れの森に調合の材料を取りに行った帰りのことさ。この辺りは満月が近いといい素材が取れるんだぜ。で、その帰り道にでっけえオニに出くわしたんだよ。あんなのそうは見かけねえ、さすがの俺も死を覚悟したね」
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