第14話 オニの存在

「オニ?」

 ポメルが不思議そうに首を捻った。


「お嬢ちゃんはオニを知らねえのか? 見たところヨソから来たみたいだが、オニのこと知らずに旅にでるなんて命知らずもいいとこだね」

 

 その話ぶりを聞くに『錆』の一種だろうと想像がついた。

 人に害をなす、その世界特有のものを『鎺』では、総じてそう呼んでいる。


「で、そのときだ。颯爽と現れたのが炎の剣士サマだよ。身の丈くらいの大きさの剣からとんでもねえ炎を操ってあっというまにオニを焼き払っちまった。王国お抱えの魔術士でもあんなことできやしねえぜ」


「ありがとよ、おっさん」

 まるで自分のことのように自慢げに話す男の盃に、なみなみと酒を注ぐともとのテーブルへと戻った。

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