第15話 『劔』の存在についてサヤには確信があった。

「と、まあそういうわけだ」


「そういうわけだ、じゃないですよ! 知ってたならさきにそれを言って下さいよ」

「言う前に飛び出していったのは、ポメ子だろ」


「止めればよかったじゃないですか! それに――」

 言いたいことはそれだけじゃない。


「どう考えても酔っぱらいの戯言じゃないですか? どうしてそんな話を鵜呑みにして『劔』だと断言できたんですか。もし、それがデタラメだったら『劔』の発見が遅れるばかりだったというのに」


 自分はいましがたその『劔』の存在を目撃したからこそ、さきほどの酔っぱらいのたわごとのような話も信じられるが、そんなことがなければ、こんな話を聞いてそれが『劔』であると確信できるはずもない。


 目の前のサヤという女性が考えていることが不可解でしかなかった。

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