第16話 酒瓶でサヤは説明する。

「ポメ子、それはだな――」

 サヤは呼びかけると、テーブルに置いてあった何本かの酒瓶の栓をおもむろに抜いた。大小のさまざまな瓶には、色や形、素材がさまざまに工夫されている。


 それから、今度はそれらをちぐはぐにテーブルの上に乱雑に並べた。

 瓶の口には収まりきらないような組み合わせもあれば、瓶の装飾が合わない組み合わせ、胴部の色と栓の色味が不恰好なもの、さまざまである。


「これを見てどう思う?」

「どうって言われても?」

「この瓶と栓の並べ方だよ」


 わけのわからないことを聞いてくる。

 

 ポメルは眉間にしわを寄せた。

 何か試されているのだろうか。


「常識的な人はこんな置き方はしないと思います。居心地が悪い、というか収まりの悪い感じがしますね」

「じゃあ、おまえならどうする?」

 

 やってみろというようにテーブルへと手を差し出され、ポメルはそれを元あったように正しい組み合わせにそろえ直した。


「これでいいんですか?」

 その様子を見て、サヤはうんうんと頷いた。


「つまりは、そういうことだ」

「は?」

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