第56話 蓮司への加勢、その結末――

「つべこべいうな。彼はこの討伐隊に欠かせぬ人間なのだ。我らの本分を見失うな」

 兵士たちは、その言葉にはっと気付かされたように蓮司のもとへと向かった。

 その統率された動きは、ヘリオスが長年彼たちを懸命に育ててきた証に他ならない。

 

 まるで兵士たちが一つの大きな槍と化したかのように突き進んでいく。そして、ついには蓮司を囲んでいたオニの群れの一角を突き破り、彼と合流することに成功した。


「おまえら!?」

「隊長に感謝しろよ」

蓮司はそれに答えるがごとく大剣を再び掲げ、オニどもに応戦する。


「助かるぜ!」

 だが、その影からオニの凶悪な爪が、その首をかかんと振り下ろされた。

 

 鈍い音ともに血飛沫が舞う。



「ヘリオスさん!!」「隊長!」


 蓮司の前にはオニを遮るように飛び出したヘリオスの姿があった。オニの凶悪さを体現したかのような爪は、ヘリオスの腹部を貫き、血を滴らせていた。

 オニがその感触を楽しむかのようにゆっくりとその腕を引き抜く。


 力なく血に伏せるヘリオスに蓮司が駆け寄った。

「どうして――」

 ヘリオスは虚な目をしたまま虚空を見つめている。


 蓮司はその姿を見下ろし、耳元に何かを囁いた。

 瞬間、ヘリオスの目が何かに驚いたように見開かれた。

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