第113話 サヤは村へと潜入する
村人たちは夜通しの見張りを決め込んでいたのだろう。村の入り口には村の男たちが煌々と灯した松明のもとに集まっていた。
そうはいっても元々はただの村の農夫たちに過ぎない。
サヤがその目をかいくぐって村の中に侵入するのは造作もないことだった。
村の周囲をぐるりと囲む塀は、ただ本能のままに動くだけの亡者たちの侵入を阻むことはできても、彼女のような存在を食い止めるような働きは期待できるはずもない。
できれば村の人間たちに無用な危害を加えることは避けたいサヤとしては好都合であった。サヤは樹上から村の様子をうかがうと、人目に付かない位置を見つけ、いとも簡単にその塀を飛び越えて村へと侵入した。
ここまでくれば白鞘への反応もかなりはっきりとしたものになっている。
改めて時間がないことが確認された。
闇夜に紛れるようにして教会の脇を足早に抜けていく。
たどり着いた先は教会の傍らにひっそりとたたずむ小さな建物、それはかつてチャノメの父が診療所として使っていた場所であり、ポメルが目を回して休むように言われていた場所。
そして、「蟲」に意識を奪われ凶行に及んだ獣人のいた場所である。
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