第69話 ポメルと村人の接触
そんなわけでわたしは獣人然とした姿で村を歩いてはいるが、村の人たちの視線にはあまり好意的な様子は感じ取れない。
――「ハーフ」がどうしてこんなところに。
――森から出て来るんじゃないよ。
当人たちは聞こえないように声を潜めてはいるが、ポメルの耳にはその言葉は届いている。事前に把握していたよりも獣人に対しての状況はあまりよくないのかもしれない。
かつて経験した嫌な思い出が頭をよぎり、わずかに身震いをした。
居心地の悪さを感じて、フードをかぶろうか思案し始めたところに後ろから呼び止められる。
「なに、しょぼくれた顔してんだよ」
乱暴な言葉遣いに一際通りのよい声。
おまけに鼻をつく酒の香りと来れば、振り返って確かめるまでもない。
『劔』の捜索と剥奪という大事な任をうけてこの世界にきているというのに、お酒なぞにうつつを抜かすものなどポメルは一人しか心当たりがなかった。
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