第70話 ポメル、サヤと合流する

「サヤさんっ!!」

 思わず声を張り上げる。

 ポメルの呼び掛けにこたえるように、上機嫌に酒のグラスを高くかかげている。

 またどこからか手に入れたのだろう。

 青々とした芝生の上に惜しげもなくその美脚を投げ出しては、うっとりとした表情で手元の盃に入る魅惑の液体を眺めていた。


 サヤはポメルがつかつかと詰め寄るのも意に介している様子はない。

「なんだあ? あたしに会えてそんなにうれしいのか? ん? おまえちょっと泣いてねえか?」

「泣いてません!!」

 飲んだくれが騒いでるようにしか聞こえないが、酒を片手にふるまうその姿はどこか艶やかな色気を醸し出している。

「まったく、あなたは毎回毎回いつもどうしてそうなんですか!!」

「あー、はいはい」

 ぐいっとポメルの口にむけて酒を差し出した。

「その手はくらいませんから」

 ひょいと身を下げてその攻撃をかわす。

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