第68話 ひとまず、サヤの行方を探す

「あの――」

 通りがかりの村の住人らしき人からサヤの行方を探そうとさっそく試みる。

 異世界の住人へと最初に接触を図るのは毎度のことながら慣れない。

 事前にある程度、その世界の概要は知らされてはいるものの、その情報が正確であることのほうが少ない。

何ともいい加減な仕事をする人たちがいるものだ。

その上、自分のこの長い耳と尻尾はどこの世界でも多少は奇異の目で見られる。

 好奇の目にさらされるのが嫌で当初は大きなフードの付いた外套ですっぽりと隠していたのだが、

 ――そんなもん隠してたってしょうがねえんだから、堂々と見せびらかしておけばいいんだよ。あたしは、あんたのそのモフモフした耳は好きだぜ。

 とは、いま絶賛失踪中の彼女の言葉だったりする。

 屈託なく、からっと笑うその笑顔を思い出す。

 無意識のうちに尻尾が機嫌よく揺れるのを本人は自覚していない。

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