第二章

第67話 新たな世界での『劔』を探す

「まったくもう! あの人はまたですか。あれほど先に行かないで待っていてくださいね、って念を押したのに」

 異世界に転移してくるや否や、ポメルはぷりぷりと怒っていた。

 それもそのはずである。

 彼女の仕事のパートナーであるサヤが、例のごとく勝手に先に異世界に入ってしまったのだ。

 火渡蓮司の件より、サヤとポメルは正式にパートナーとして仕事をこなすようになり、それなりにうまくいくようにはなっていたが、いまだに彼女の酒癖の悪さだけには慣れずにいた。

だいたい、『鞘』が単独行動で異世界に入るなんてどんな神経をしているのか。そのあたりのきまりをきちんと守ってもらわないと、パートナーであるわたしまでそんな目で見られてしまうではないか。

いくら腕が立つといっても、それとこれとはわけが違う。

今日こそはつかまえてガツンといってやらねば――。

これは、『鎺』としてのわたしの重要な仕事の一つでもあるのだ。

うんうん、と誰にともなくうなずいて決意を新たにする。

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