第77話 ポメルは子供たちになつかれる

「あー! アイリスここにいたぁ」

「ほんとだ! ここは入っちゃいけないって神父様が言ってたんだぞ」

「アイリス、いけない子だあ!」

 急に扉のあたりが騒がしくなったかと思うと、次々と子供たちが部屋の中へと流れ込んでくる。

「あらあら、みんなこんなところまで来ちゃってどうしたの?」

「アイリスがいないからお祈りが始められないんだよ。シスターが探してきなさいって」

「まあ、それでこんなにいっぱい来たのね」

 アイリスが困ったような、それでいて嬉しそうな表情を浮かべていた。


「あーーーーー!」

 突如、一人の女の子がポメルの姿を見止めると、一目散に駆け寄った。

「わんわんだあ!!」

「え、なに――」

 ポメルが反応するより先にその大きなモフモフのしっぽに飛びつく。

「本当だ! わんわんだー!」

 それを号令とでもしたかのように次々と子供たちがポメルに飛びかかり、ついにはポメルは押し倒されるような恰好で後ろのベッドへと倒れこむ。

 もうそうなってしまってはこの小さい兵隊たちの進軍を止める術もない。

 ある子は尻尾へと顔をうずめて、ある子はそのポメルのお腹を好き放題触る。

 特徴的な三角の耳には、あろうことか甘噛みする子さえいた。

 ベッドの上でもみくちゃにされながら、「ひいい、サヤさん、助けてください――」と助けを乞うも、頼みの相棒は、けらけらとその様子を見ては面白おかしそうに笑うばかりだった。

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