第72話 ポメルは結局酔いつぶれる。

「あら、ごめんなさい。大丈夫ですか」

 慌ててポメルに駆け寄るが、時すでに遅し。ポメルは目を白黒させていた。さほどの量でもないが、彼女の意識を飛ばすのには十分すぎる量だった。

 慌てる女性に対してサヤは冷静だった。

「ああ、心配いらねえよ。いつものことだから」

 サヤはめんどくさそうに髪をかきあげた。

「どっか休むとこあるかい?」

 そう聞くとポメルを乱暴に肩に担ぎあげた。少々、雑に扱ったくらいでは目を覚まさないことは既に承知済みである。

 目の前の女性は少しためらったように何かを考えていたようだが、やがて「あちらになら横になれるところがありますが――」と教会の脇にある小さな建物を指差した。

「んじゃあ、ちょっとそこまで案内頼むよ。すまないね、こんな迷惑かけちまって。あんた、シスターかい?」

「いいえ、教会の孤児院で子供たちの世話をしているものです」

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