第36話 蓮司、喧嘩を売られる

「ずいぶんと俺様もなめられたもんだぜ、こんなガキに仕切られるなんてな」

討伐隊に集まった男の一人だろう。


「こんな女子供の寄せ集めのパーティでオニの討伐なんて笑わせるな。どうせ、そこのお嬢様をたぶらかしてプロミネンス家に取り入ろうなんてつもりだろうが、そうはいかねえぜ」

「寄せ集めのパーティだって? こいつらは俺の大切な『仲間』だよ。それを馬鹿にされて黙ってられる程、俺だってお人よしじゃねえぜ」

 啖呵を切りつつも内心は、これでこのザコをぶっ倒せば、後ろの子たちの俺の好感度も爆上がりに違いない、などと考えていた。


 蓮司は挑発的にその大剣の切っ先を、大男の鼻先へと向けた。

 ところが、その一触即発の雰囲気も、ある一声によって平静へと舞い戻った。


「屋敷内で物騒なことはご遠慮願えますかね」

 その間に割って入ったのは、ヘリオス・プロミネンス、討伐隊の隊長である。


 男は、分が悪いと思ったのか舌打ちを残してそっぽを向いた。

 蓮司は表面的には取り繕いつつも、せっかくの見せ場に水をさされたことに不満を隠しきれない。


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