第82話 アイリスは村人と合流する
アイリスは村人たちと合流した。
既に知らせを受けていたのだろう、神父様の姿もそこにある。
「子供たちは大丈夫ですか」
「メイアさんたちと孤児院に残っています」
「奴らが来たぞ、そっちに向かっている!!」
樹上で様子をうかがっていた村の男の声だ。
茂みの奥から、叫びとも呻きともつかない声が迫ってくる。
次第にその輪郭が月明りに照らされてはっきりとしてくる。生気のない目に土気色の肌、人の姿をしてはいるが、それとはまったく異質な存在。
おぼつかない足取りではあるが、着実にこちらの姿を捉えて迫ってきていた。
そのおぞましい姿がもつ悲しい運命を思うと胸が張り裂けそうだ。
アイリスは怯えるように胸元へと手を当てた。
「あいつらが、
その声に思わず振り返る。
声をかけてきたのがサヤであるとわかると、アイリスは驚いたように声を上げた。
「どうしてここに? 危険です。孤児院にお戻りください」
腰に帯びている武器のようなものに手を掛けているところを見ると彼らと一戦交えるつもりらしい。
アイリスはそれを制するように手をかざした。
「彼らにそうしたものは無意味です」
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