第81話 襲撃

 突然、慌ただしく孤児院の戸が叩かれる。

 村の男だろうか、強張った表情でアイリスへと何事かを告げている。

 子供たちに聞かせたくないことだろう。どこか声を潜めて注意深く話をしている様子が見られる。

 サヤはすかさずポメルへと目をやると、彼女も何かの異変を察したのだろう。

 特徴的な三角の耳がひくひくと反応している。どうやら耳を澄ましているようだ。

穢れた亡者ネクロシスの群れが出た。村に向かっているようだ、手の空いているもので退けたい、そう言っています)

 ポメルからの言葉にサヤは頷くと、部屋から出ていくアイリスの後を追った。

 自分の考えが正しければ、この異変は見届けておかなければならない。

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