第85話 『劔』の力
「冗談きついぜ」
軽口をたたきながらもサヤの目は真剣そのものだった。
一瞬にして、周囲にいた
腰元に据えられた白鞘が鈍く染まっているのを確認するまでもない。
『劔』
世界の常識を外れたこんな芸当ができるものなど他にあるはずもない。
ざらりとした冷たい空気がサヤの頬を撫でる。
「なんだってんだ、いまのは」
すぐ隣にいたアイリスはサヤの問いかけに目を逸らした。
「祈りによる救済です」
代わりに答えたのはブラッドリーだった。
それ以上の質問を阻むような有無を言わせぬ態度に、サヤはそれ以上の追求を諦めざるを得なかった。
代わりに、すぐさま周囲を見渡した。
村人の誰かが、『劔』の力を所持していると見て間違い無いだろう。しらみつぶしに確認するにはあまりにも数が多すぎる。
幸い、白鞘が既に元の純白の色味に戻っていることから『劔』による侵蝕はまだ浅いものだと考えられる。それならば、まずはポメルと合流して次の手立てを考える方が先だ。
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