第48話 戦いの夜を明けて ~サヤのセクハラタイム~

「あいたたたた、もう少し丁寧にやれねえのかよ」

 サヤは昨晩の戦闘の傷の手当をポメルに任せていた。


「変わった服ですね」

 血に塗れたせいで黒くにじんだ衣を脱がせているときの言葉だ。


「着物って言ってな。身軽で気に入ってんだ」

「これが、着物ですか。お師匠さんがよくこんな感じのものを着てましたが」

「お師匠さん?」

「ええ」

 ああ、そういえばとポメルは鞄の中から例の絵と白い布を取り出した。

「お師匠さんがくれたこれのおかげでサヤさんを見つけられたんですから」


 サヤはそれを受け取ると、眉をぴくりと動かした。

「そいつぁ、キルハとかそんな名だったか?」

「そうですよ」

「あいつ、まだこんなものまで隠し持ってやがったのか」


 返事よりも先に、サヤはその絵を両手で引き裂いた。

「ああ、なんてことを! せっかくきれいに描けてるのに」

「うるせえ、それならポメ子もこうしてやる」

 

 サヤはポメルをベッドの上に押し倒して馬乗りになると、その外套を勢いよく開く。その内側には薄い毛皮の衣服に覆われた魅惑のふくらみが現れる。

 昨日、火渡蓮司の目をくぎ付けにした立派なものがたゆんと重量感あふれて揺れる。


「ちょ、ちょっと何するんですか」

 いやがる彼女をよそにその衣服の中へと指を滑り込ませる。

「まだ成長途中だってのに良い体してんじゃんかよ」

「やだ、ちょっとどこ触ってるんですか」

 ポメルの顔が徐々に紅潮してくる。その仕草に合わせるように、サヤの指先がなまめかしく、彼女の体の柔らかな曲線をなぞるように動かした。

「やん、だめっ」

 いっそうにポメルの声がつややかに響く。

 その声にサヤが不敵に笑った――のも、束の間


「ってえッ!!」


 サヤの悲鳴が上がる。

 ポメルがその指先に噛みついていた。

 かと、思うと目に涙をためて、すんすんと鼻を鳴らし始めた。

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