第52話 蓮司の演説とそれを見つめるサヤとポメル
「ヘリオスさん、あとは俺にまかせておきな」
彼とその兵士たちのやりとりの後ろから火渡蓮司が姿を見せた。
不敵に笑うと、広間に集まった者たちに向けて声を上げた。
「いいか、おまえら、俺がきたからにはオニどもなんて怖くねえ。一匹残らず徹底的に殲滅してやるぜ。いまから明日の討伐作戦を説明する。まあ、作戦なんていうほど大したもんじゃねえがな」
意気揚々と軍勢の前で説明する姿を、部屋の隅でサヤとポメルは険しい表情で見つめていた。サヤの持つ白鞘は、彼に直接触れることがなくともその『劔』のもつ気配に反応し、わずかに濁りを帯び始めていた。
これは、それほどにその力が世界を蝕みはじめていることを表しているに他ならない。
(サヤさん、あまりのんびりしている時間はなさそうですね)
周りに気取られぬようポメルが直接心に語りかける。
サヤは蓮司から視線を離さぬまま、わずかに頷いた。
明日の討伐作戦は、この世界にとっても、サヤたちにとっても、大きな意味を持つ戦いになるであろうことを予期していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます