第51話 若い兵士の訴え
「隊長がその任を解任されるなんて我々は納得できません」
さきほどから蓮司をもてはやす言葉が飛び交う中、その光景を不服そうに眺めていたものたちもいた。
「もう一度、領主アポロン様に掛け合ってみてはいかがでしょうか。我らもお供します」
兵士たちがぞろぞろと彼のまわりに集まってきた。長きにわたり兵たちを鍛錬し、隊に貢献してきた彼の指揮から離れることを拒むものたちも少なからずいる。
「兄上がお決めなさったことだ」
ヘリオスはたしなめるように首を左右に振った。
「それに――いまは、そのようなつまらないことで近衛隊が割れている場合ではない。すぐにでもオニの討伐へ繰り出そうという時期だ。いまは、みな一丸となって敵に立ち向かうべきとき、そうだろう?」
自らを慕ってくれる兵士をヘリオスは嬉しく思う反面、自らの弱さ故に彼らに苦しい決断を迫ることになっていることを心苦しくも思っていた。
「それに、私は隊長の座を離れても隊のひとりの兵士としてこのプロミネンス領をおまえたちとともに戦い、守っていきたい」
先頭に立っていた若い青年兵士は泣きそうな顔で、はい、と返事をした。
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