第41話 苦戦するサヤと加勢

 獲物を見つけて大きな口が横に広がる。まるで笑っているようにすら見える。

 

 サヤは後方に跳ね起きると、背後の大岩を起点として飛び上がり、オニの背面に回ると、その胴部を一突きにした。


 オニからは苦しげに咆哮があがる。しかし、まだその戦意を失っている様子はない。オニはサヤを振り払うように巨体を震わせた。

 勢いに押されるようにサヤが振り落とされる。白鞘はその胴部に突き刺さったままだ。

 地に伏すサヤめがけて巨腕を天高くかかげた。


「っ!?」

 

 得物なしで受けきれるものでもない。

 回避行動を取ろうとした目の前に、さっと影が現れた。

 サヤがそれが何かと、認識するより先に無数の斬撃がオニの体を切り刻んだ。


「大丈夫ですか」

 サヤの助太刀に現れたのはヘリオスだった。


「あ、ああ。助かったぜ」

「ご無理なさらず。この先で我が兵たちが応戦しています、合流を。単独でやつらとやりあうのは危険です」

 

 サヤにわずかに一礼すると、ヘリオスはまた別の場所へと駆け出した。

 どうやら戦場を激励し、回っているようだ。

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