第59話 誤算

 傭兵たちはおぞましいものを見るような目で俺のことを見ていた。

  (どうした? なんだその目は?)


 フレアは唇を震わせ、小刻みに首を横に振り、他の仲間たちは困惑した表情を浮かべていた。

 (違う。そうじゃないだろ?)


 そして、ヘリオスの救護に当たる兵士たちは憎悪に満ちた瞳で俺を睨み付けていた。

(なんて目で見やがるんだ、俺は英雄だぞ)


「ど、どうしたよ、みんな。そんな怖い顔をして」

 ――何が起きている。

 ――これまでと違う。


「みろよ、オニどもは殺したぜ。この俺が!! なあ、フレア」

 一歩踏み出して近づこうとすると、フレアはあとずさった。

 

 俺の困惑を一閃するように、視界の隅で何かが高速で接近してくる。

 咄嗟に大剣を盾のようにしてその一撃を防いだが、体勢がよろめく。


「さっきまでとは違って随分と動きがいいじゃないか」

 

 迫ってきたのはサヤという女だった。不敵な表情で俺へと迫る。

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