第2話 お師匠さんからもらったものでパートナーを探す

 そうだ、お師匠さんから預かってたものがあったんだ。

『困ったらこれを開けなさい』


 お師匠さんは私にいろいろなことを教えてくれた素晴らしい方だ。

 目をつぶると、お師匠さんとの辛くも温かい修行の日々が思い返される。

 あるときは胸をもまれ――。

 あるときはお尻を触られ――。


 あれって修行だったのか。ぶんぶんと辛く苦しい修行の日々を頭の隅へと追いやる。

 背負っていたカバンを下ろすとお師匠さんがくれた包みを広げた。

 

 その中身を見るや、思わず顔を赤らめて視線を逸らした。

 なんと、包みから出てきたのは、女性が無防備に寝息を立てる姿を描いた一枚の絵だった。すらりと伸びた足から大胆に太もものほとんどが見えている。

 緩い衣服は胸元をあらわにし、普段はきつく締めているであろう白い布がだらしなくほどけている。

 

 なんとも言えない色気を漂わせた女性の寝姿である。

 あのエロオヤジ!

 包みごと地面へと叩きつける。

 

 もうだめだ、万事休すだ。

 その場に膝をついてへたり込む。周りの人が奇異な目で見ているのももはや気にならない。

 

 だいたい、お師匠さんはこんな女性とどこで――。

 まじまじと見つめて、はっとした。

 この顔は――。

 

 事前に渡された資料をカバンから引っ張り出す。そこに乗せられた肖像と、この絵の女性を見比べる。

「!?」

 そう、このなまめかしく横になる女性こそ私が探しているパートナーだった。さらにそれを眺めてあることに気付いた。

 

 この肖像画を包んでいたやけに長い白い布はもしや――。

 描かれた女性の胸部と、右手に持った布を見比べる。

 

 あのエロオヤジ!

 

 お師匠さんがどういう経緯でこんな卑猥な絵と布を手に入れたかはさておき、もはやこれに頼るしかない。

 

 布に鼻を押し付けて、その匂いを嗅いだ。

「こっちだ」

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