第4話 ほ~り~うぉー
冬華から解放された夏男は保健室のベッドに寝ていた。
保健委員と思しきゾンビがベッドの周りをウロウロと歩き回る。
窓から見えるグラウンドでは、今まさに『除霊大戦』が始まろうとしていた。
スチャッと眼鏡を取り出し掛けてはみたが…。
(遠すぎて…何も解らねぇ…)
二階堂 夏男、能力名『スケルトン・マインド』眼鏡をかけると女性の着衣のみが透過するという能力であった…。
ちなみに春奈の前で夏男が眼鏡を掛けようとすると彼女が夜叉化するという死と隣り合わせの能力でもある。
(双眼鏡が欲しい…)
グラウンドでは、三つ巴の3人の戦士が睨みあう。
(ジャンケンのようだ…永遠に決着がつかないような気がする…)
ダラダラと時間だけが過ぎていくような予感をヒシヒシと感じている小太郎、春奈と立花先生は暇つぶしである。
「じゃあ、テキトーに始めて頂戴‼」
(テキトー?)
すでに飽きてきている立花先生の号令で戦いの火ぶたは斬って落とされたのである。
ルールも決めてないままに…。
「やったらぁー‼ おらぁー‼」
グラウンドの中央に向かって全力で走る特攻服。
「負けるか‼ オラァーです‼」
釣られて冬華も走り出す。
手近なゾンビの目の間で叫ぶ冬華。
「モコズキッチン‼」
大量のオリーブがゴブッと溢れ、ゾンビがヌルッと滑って転ぶ。
「とどめです‼」
パラパラッ…とゾンビの頭に適量の塩がふりかけられる。
「除霊終了‼」
ビシッとポーズを決める冬華。
それを見ていた特攻服。
(……アレが除霊か…)
「ほほぉ…やるな冬華くん…負けてられないな…私も」
右手をスッと前に突き出す秋季。
「ゴッド・イーター‼」
秋季の右手に禍々しい剣が具現化される。
(なんなんだ…あの剣は…なんかヤバそうだぜ…)
特攻服が生唾を飲み込む。
目の間にフラッと歩くゾンビの頭部に秋季が剣を振り下ろす。
「
ポコッ‼
軽く間の抜けた音、叩かれたゾンビにもダメージはないようだ。
何事も無かったかのようにフラフラとゾンビは向こうへ行ってしまった。
(アレが除霊か…)
「おいおい、お前等、それがエクソ…なんたらか?コラァ‼」
「フッ…愚問だな…」
「なんだぁ?」
「私の戦い方が気に入らないのなら、キミの能力を見せてもらおうか?」
「あぁ? 上等だ…腰抜かすなよテメェ‼」
特攻服が指をパチンッと鳴らした。
「ハードラック・ダンス‼」
ビシッとゾンビを指さす。
「あうっ?」
指を指されたゾンビの足が縺れて転ぶ。
「フンッ…俺が指を指している間、貴様に幸運は訪れねぇ‼」
転んだ先の石に頭をぶつけて、ちょっと額がパカッと開く。
(なかなか…エグイ能力だな…彼)
グラウンドで這いつくばって藻掻くゾンビに同情する小太郎であった。
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