第68話 ぼ~ん・とぅ・びー・かおす

「周さん…能力…考えたこと無かったな」

 田中さん(現校長)は周さんを炒飯を上手に作るだけの人だと思っていたのである。

「そうですね、生き残っているということは何らかの能力を持っているはずですよね」

 小太郎も同様である。

 その他の面々なんか、ソレすらどうでもいいのである。

「田中さん、周さんは、これから、そこらへんで暮らすことになるでしょうから、一応聞いておいたほうがいいでしょうね」

「そうだね小太郎君」

「えぇ…向井君みたいに危ない能力じゃなきゃいいんですけどね」

「彼だっけ? 夏男君にビーム打つの?」

「いや…夏男さん限定じゃないんですけどね~」


 ………

「だからなんで卒業生たる俺が校内清掃をするんだ‼」

 夏男が不平タラタラで食堂のモップがけをしている。

「ハッハハハ、最もだぞ夏男、私も納得いかん」

 秋季、同じくモップ係となって不満なのである。

「まぁアミダくじで決まったことですから~」

 春奈、机拭き係である。ある意味当たり枠だ。

「うおぉりゃーです‼」

 冬華、青海・向井と運搬係であるが声だけだして力は出さない。

 現在、重そうな長机を運んでいるのは向井と青海である。

「ちっこい先輩…せめて机から降りてくれ…運んでんだからよ…」

 田中さん・小太郎・立花先生・周さん調理場清掃である。

 最もハズレ枠。

「やり直しを要求するわ‼」

 雑巾を床にパンッと叩きつけて我慢を知らない女『立花 桔梗』下剋上システムを考案してきた。

 指名された係との交代を掛けたタイマンである。

「もちろん、春奈さんを指名するわ‼」

「まぁ? 受けて立ちますわ‼」

 春奈と立花先生、どうにも相性はよくないのだ。

「タイマンか? いいね‼ 殴り合って解りあえ‼」

 青海の血がワッショイ♪ワッショイ♪騒ぎ出す。

「ハッハハハ、まぁ待ちたまえ諸君、そういうことなら、さっき見つけたコレで勝負したらいい、タイマンにピッタリだぞ」

 すでに床掃除をサボッている秋季と夏男、オセロで遊んでいた。

「オマエ、負けそうだからってズルいぞ秋季‼」

 夏男、優勢であったらしい。

「オセロですか…懐かしい」

 小太郎が石を手に取り繁々と眺める。

「ただのオセロではないんだぞ、新ルールを追加した、じゃんけんオセロだ‼」

 夏男がスクッと立ち上がった。

「うむ…説明しよう」

 秋季がパンッと扇子を広げた。

「じゃんけんオセロとは、じゃんけんに勝った方が石を置ける、つまり、まずじゃんけんに勝たなければ永遠に石を置けないというルールだ、恐れ入ったか‼ ハッハハハ」

「驚いて声もでねぇようだな」


(なんで、この人達は…いちいちカオスを産みだすのだろう?)

 小太郎は泣きそうになっていた。

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