第69話 いぇす・あいむ・えすぱ~

「じゃ~んけ~ん…ホイ‼」

 解りやすく、カオスなSUPERオセロ大戦がはじまった。

 第一次SUPERオセロ大戦(夏男VS秋季)は決着を見ぬまま歴史から消えていったのである。

 現在、第二次SUPERオセロ大戦(立花VS春奈)の真っ最中である。

「また勝ったわ~‼」

 どういうわけか、じゃんけんの勝率が異常に高い立花先生、圧倒的有利に進めている。

「あらっ? 石を置く場所が…ないわ…」

 ピーッ‼

 ホイッスルが鳴り、審判夏男がルール説明を始める。

「その場合は、好きな場所に石を置くことができます」

「そうなの? 当然…隅ね‼」

 バシッと石を置く立花先生。

「クッ…」

 春奈が珍しく悔しそうな顔をしている。

「ふふん」

 ドヤ顔で鼻を鳴らす立花先生。

 完全に清掃の手を止めて第二次SUPERオセロ大戦を見ている面々。

「結局…じゃんけんの勝率が勝敗を決めるんですねコレ」

 小太郎が秋季に話しかけた。

「うむ、そうとも言えんのがオセロの醍醐味だぞ小太郎会長」

「次は冬華が向井と勝負するです‼」

「えっ? なぜ?」

 聞き返した向井に冬華が凄む。

「逃げるですか~? 第三次SUPERオセロ大戦勃発です‼」

「いや…ちっこい先輩、同じ係だからよ…俺達」

「どういうことです‼」

「だから向井も俺も勝っても負けても何も変わらねぇんよ…」

「オマエには負ける気がしないから、やらないのです青海」

 伝わってない冬華に手こずる青海。

「冬華も遊びたいのですーー‼」

「じゃあ、コッチでじゃんけん双六でもやるアルか? さっき見つけたアル」

「やるです‼」

「あの…戦争の最中に紛争を勃発させないでください…周さん」

 小太郎が、これ以上カオスを広げないようにしているなか、

「青海さん、僕らも、じゃんけん7並べといこうではありませんか‼」

「やるか‼ 向井‼」

「ちょっと、ちょっと清掃はどうするの?君たち」

 田中さん、もはや30分誰も清掃していない状況に、ようやく気付いた。

 そして、このまま放置すると永遠に食堂開設が出来ないことにもだ。

「ん? そういえば…聞き忘れてましたが…周さん、あなた何の能力者なんです?」

「能力…アルか?」


 周 徳富 能力名『巡回幸福ハッピーターン

「炒飯を作っている時だけ、多幸感に包まれる能力アルよ」

「ほぼ、ヤベェお薬じゃねぇか‼」

「なるほど~、どうりで炒飯しか作らないわけだ」

 田中さん納得である。

「だから‼ ジャンキーじゃねぇか‼ 中毒になってんだよソレ‼」

「今も…幸せアル…アハッ…アハハッ…」

 鍋を振りながら笑う周さん。

「向井とは違うヤバさを感じるぜ…なっ会長先輩‼」

 ヤベェ外個人枠の参戦に小太郎、不安で胸がイッパイであった。

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