第7話 どらごんどり~む
「で、この学園に来れば友達100人できると言われたんだな青海よ」
パンッと扇子を広げる秋季。
「そうは言われてねぇ‼ ただ生きている人間がいると聞いただけだ」
「まぁ、寂しがり屋さんなのね」
「そういうことじゃねぇだろ‼ こういう世界なんだ、なんかこう…生き延びるためにこう…あーっ‼」
「特に頑張らなくても冬華、生きてます‼」
「そうだな、特に生活に支障はない‼」
「考えてみれば不思議ですよね…でも問題はないかな」
「あぁ…それは俺も拍子抜けというか…なんか映画と違うなって思っている」
お気楽な人しか生き残れないのかもしれない世界なのである。
ガラッ‼
生徒会室のドアがガラッと開いた。
「そんなお前達に朗報だ‼」
腰を押さえて入ってきた夏男。
なんとか壁伝いに生徒会室までやってきたのである。
「……誰ですか?」
冬華が夏男を指さして小太郎に尋ねる。
「…忘れたい人もいるもんですね」
「小太郎‼ 歯ぁ食いしばれや‼」
殴り掛かろうとした夏男にカウンターを、お見舞いした小太郎。
「ググッ…」
床に沈む夏男
「夏男さん、彼が新入生の五条くんです」
シレッと青海を紹介する小太郎。
「……泣いてもいいですか?」
「アンタ…惨めだな…」
早速、青海に蔑まれた夏男。
「さっ、大体のヒエラルキーが決まったところで話の途中だったな夏音よ…コレだな」
秋季が夏男の手から紙切れを取り上げた。
『龍ヶ池』
テストの答案用紙の裏に書かれた汚い字と大雑把な地図。
「まぁ…27点ですわ」
「賢くはないな…」
「バカの書いた地図です‼」
「コレがなんなんですか夏男さん」
「バカが‼ ドラゴンの一言で夢膨らむでしょうが‼」
「バカがバカに釣られてんな…」
青海が冷たい視線を夏男に向けた。
「龍の衣を纏ったテメェがソレを言うか‼」
「あぁ?
「そうですね、くだらない…」
「お前等、龍だぞ‼」
「龍なんかいるわけないでしょ夏男さん」
「小太郎、ゾンビがいたんだぞ‼ 龍だって、あるいは竜だって可能性は0じゃないだろ‼」
「解ったわ夏男くん、こうしましょう…遠足を兼ねて龍探ししましょう」
キュキュッとホワイトボードに何かを書き始めた立花先生。
「こんな感じで」
ホワイトボードに立花先生が書いた4階層に区切られた三角形
頂点に『
その下に『
その下に『
最底辺に『
「本気ですか?先生」
小太郎があからさまに嫌そうな顔を立花先生に向けた。
「本気よ」
「冬華、龍を捕まえるです」
すでに虫取り網を装備した冬華。
(コレが…コレが俺の立ち位置なのか? そして職業…馬と鹿…乗り物的な扱いなのか?)
夏男は生徒会室の床に涙を滲ませた。
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