第8話 こすぷれいや~

「まずは衣装からよ」

 立花先生の一言で、ソレッぽい衣装を各々揃えに街へ向かった。

「2時間後に、ココで集合よ、役割はホワイトボードに書いた通り、どうせ誰にも会わないから気にせずに選んでらっしゃい」

「商人って…どんな服着ればいいんだろう…」

 悩む小太郎の前に冬華が無言で差し出したペラペラの半被。

 背中に『激安』の2文字。

「まぁ…間違ってはいないな…」

 小太郎の目を見て無言で頷き、冬華は無言でスタタタッとデパートの中へ走っていった。

「コスプレ…でいいんだよな…」

 商人のコスプレとは?

 小太郎の脳裏に大阪の食い倒れ人形が過る。

(それは違うだろ…)

 首を横に振りデパートへ入る小太郎であった。


 そして2時間…

「うむ…皆、なかなかの勘違いだな、ある意味、天晴‼」

 秋季が扇子をパンッと広げる。

「そう言いますけどね秋季さん…それ…ドラキュラじゃないですか」

「うむ…ドラキュラではない、ヴァンパイアだ‼」

「こだわりですわ」

「呼称はいいんです、どこが暗黒騎士なんですか?」

「ん? 黒いが…はて?」

「黒いタキシードでしょ‼」

「いかにも、しかし小太郎会長よ…黒い鎧どころか鎧は売ってなかったが?」

「そうですわね~、何売り場なんでしょうか? あっ紳士服‼」

「そう‼ その紳士服売り場で…近しいのがコレだったのだ」

「お似合いですわ」

「ムハハハッ‼」

「もういいです…春奈先輩も…なぜドレスなんです?」

「あらっ、一応、僧侶ということで癒しを考えましたの、ナース服は売ってませんのね、このデパート」

「えぇ…まぁ…そうでしょうね」

「で、癒すという意味で豪華なドレスを見つけましたのよ」

「俺は好きだぜ、キャバ嬢みたいでな‼ ……むしろ嫌いなヤツがいるんでしょうかー‼」

 夏男が小太郎に絡む。

「いいです…アンタは……ソレでいいや」

 夏男、右手に馬の被り物、左手に鹿の被り物、パーティグッズ売り場で揃えたようだ。

「かまえよ…もっとイジれよ…俺だって…俺だってなぁ‼」

「絵にかいたような立派な馬鹿ですわよ…できれば一生被り続けていただきたいですわ」

 春奈が冷たい視線を夏男に向け言い放つ。

「癒されねぇ…クリティカルにスピリチュアルダメージを与えてきやがるぜ」

「冬華、魔法使いです‼」

「このチビ助……ハンドパワーじゃねえか‼」

 青海が怒鳴る。

 ハンドパワーが虫網を持って自信満々に胸を張っている。

「なんでもできるのです‼」

「なんにもできねぇよコラッ‼」


 不毛なやり取りが続くが…

「キミも趣旨を理解しているのか?」

 尋ねる小太郎が青海の肩に手を置く。

「バーサーカーだろうが‼」

 ビリビリにハサミでカットされた革ジャン皮パン(半ズボン)であった。

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