第6話 まい・ね~む
「登校したぜ‼ いるか長髪‼」
生徒会室のドアが乱暴に開けられ、テンション高めの特攻服が入ってきた。
ズズッとお茶を一啜りして秋季が椅子をクルッと回し特攻服の少年の方を向く。
「投降とは…賢明な判断かもしれんが、昨日の意気込みはどうした?」
春奈が秋季の後頭部に氷嚢を充てている。
「降伏しにきたんじゃねぇ‼」
「ほぅ、では何をしに来たのだ?」
「何しに…何をしに…昨日の続き…か?」
「ほぅ、まだ私と戦いたいと?」
「…そう言われると、そうでもねぇ…」
「コレに懲りたら冬華には2度と逆らわないことです‼」
板チョコをパキッと歯で割りながらビシッと椅子に立って特攻服を見下ろす冬華。
「別にオマエに負けたつもりはねぇ‼」
「そうかもな、私には負けたが」
「オメエにもだ‼」
「まぁまぁ、キミも落ち着いて」
とりあえず椅子に座る様に促す小太郎。
「そうですわ、心を落ち着けるといいですわ、そんなに怒らなくても、この学校は安全な場所ですのよ」
コトリと特攻服の前に湯飲みを置く春奈。
「ゾンビだらけで、何が安全なんだ‼」
「うむ…貴様、そこで授業を受けていたではないか」
「まぁそうだな…慣れたというか…思ってたほど襲われねぇというか…」
「それは私が餌付けしているおかげよ」
ホワイトボードをバンッと叩いて胸を張る立花先生。
「で? キミは、どうしてこの学校に来たの?」
なんか色々と脱線した昨日の反省を活かし、本日は本題のみを追求することに決めていた小太郎。
「ん…旅の男に聞いたんだ」
「旅の男?」
小太郎の脳裏に顔が浮かんだ。
「スナフキン的な?」
春奈が首を傾げる。
「違いますよ…田中さんじゃないでしょうか?」
「田中? 誰だ?」
秋季が小太郎に尋ねる。
「いや…覚えてないんですか? 僕ら、あんまり人と知り合わないんだから、会った人くらい覚えておきましょうよ」
「田中さん…冬華知ってます‼ たぶん‼」
「まぁ、お元気だったのね~」
「安心しましたね」
小太郎がお茶を啜った。
「話…進めていいか?」
「あぁ…どうぞ」
「その男から、この学校の事を聞いたんだ、生きている人間がいるならと思ってな、フラッとやってきたら、その先生に呼ばれたんだ」
「なるほど」
ポンッと手を叩いた秋季
「まぁ、聞いてみればつまらん話だったな」
「なんの捻りもなかったですわね」
「冬華どうでもいいです」
「まぁまぁ、とりあえず自己紹介してもらいましょうよ」
小太郎が特攻服に立ってと手で促す。
ガタッと立ち上がった特攻服
「
「へぇ~五条くんって言うんだ」
(知らんかったんかい…立花先生)
やっと6話目にして名前が語られたのであった。
「誰も見舞いとか来ねぇな…俺、泣きそう」
保険委員ゾンビに顔面に湿布を貼られた夏男。
今夜も涙で枕を濡らしそうであった。
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