第88話 すも~る・ぷらねっと
冬華無双が止まってみれば…。
「落ち着け‼ 争う気はない‼ 」
河童に敵意はないらしい。
「チッコイ先輩…大分やっちまったな…」
「……ふぅ~、停戦ですか?」
「終わってみれば、侵略側だったということですね」
「停戦を受け入れるです‼」
侵略側が何を宣言してんだか…。
とりあえず、双方の使者が話し合いの場に顔を出すこととなった。
「え~っと…何から話せばいいのやら…」
人間代表『佐藤 小太郎』
「オメェ達、ホント何しに来たんだ?」
河童代表『
「とりあえず…なんかすいませんでした」
ガバッと頭を下げた小太郎。
「なっ‼ 小太郎のヤツ~降伏する気ですか‼」
双眼鏡で様子を伺う冬華。
沼の中心部に浮上してきた銀色の足場のうえで土下座せんばかりの勢いの小太郎の弱腰外交に遺憾の意を声にする人類。
「なに? 降服など承諾せんぞ‼」
さっきまで捕虜であった夏男も憤慨している。
外交は30分に及んだ。
河童が用意した神輿のような乗り物で丁重に送り返された小太郎。
「いや~何から話せばいいのやら?」
話し終わらないうちに冬華の飛び蹴りが小太郎の顔面を捉えた‼
しばしの混濁から回復した小太郎は語った…我々が河童と呼んだ生命体の歴史を…。
以下、小太郎大使から語られた日本の歴史である。
『小さな惑星の話をしよう…』
かつて滅びゆく星があった…。
そこで暮らす知的生命体は別の惑星への移住を模索し銀河の果てで地球を見つけた。
だが…地球はあまりに遠く、知的生命体は自らのDNAだけをウィルスに埋め込み、自らの移住を諦めた。
新たな生命の誕生へ希望を託したのである。
時は平安。
後に『地球』と呼ばれた惑星は水の豊富な星のはずであった、超長距離移動型円盤は沼に堕ち、調査の結果彼らが住めない海水が大半を占める星であると判明。
放たれたウィルスは沼に生息していた両生類にDNAを浸透させた…。
長い年月を経て変異した両生類は人の姿を模した『河童』へと至ったのである。
彼の地の年号は『江戸』
時の権力者『イエヤス』は『河童』と接触、円盤の堕ちた地に神社を建設、『河童』に『
『河童』の存在は代々の神主・巫女に口伝で継がれることとなり、民は野菜を奉納し『神』として崇め奉ったという。
「この神社の名は『蛙神社』だそうです」
「まんまね…先生、カッパがカエルだってわかっただけで満足だわ…もう帰りたい」
「ハッハッハッ、私もだ‼ カエルだけに帰りたい‼」
「小太郎‼ 河童はプールで飼えるですか? カエルだけに?」
小太郎の語りなど半分も入ってこない人類。
皆、「カエルだけに」が言いたいだけなのであった。
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