第24話 れじぇんど・うぉ~りぁー
ヌルついた顔がキャンプファイヤーの炎で照りつき、不気味さを醸し出している夏男。
周囲には肉の焦げた匂いと熱々の骨が騒ぐ香ばしい香りが立ち込めていた。
黒こげ熱々のスケルトンを全力で粉砕していく小太郎の体力にも陰りが見え始めた頃である。
「マスター‼」
夏男を呼ぶ青海。
すでに『マスター』の地位であるらしい夏男がヌルッとした顔を下にいる青海の方へ向ける。
「どうしたパダワン」
ノリはジェダイであるらしい2人。
「マスター…在庫が…尽きそうだぜ…です」
「……ん? なにもういないの?」
「全部、砕かれてるです‼」
「何…なにアイツ?」
チラッと動揺を見せる夏男。
「ほほぉ…小太郎会長…目覚めたようだな」
「さながら伝説の戦士のようですわ」
「何それ? 何伝説? 先生知らないけど」
「その戦士は1000年に一人生まれるという…」
「まぁ、今年がメモリアルイヤーですわ」
「1000年? 随分ともったいぶった戦士ね~」
秋季が最もらしく語りだした。
「穏やかなる心を持ちつつ、激しい怒りで目覚めるという伝説の戦士」
「まぁ、どこかの惑星で聞いたことがある伝説ですわ」
「えっ? あの戦士の事? だとしたら割と大量生産可能じゃない」
「その名もミラクル地球人‼」
「まぁ、急に身近に感じる名前ですわ」
「小太郎君がそうなの? だとしたら急に萎んでしっくりくるけど」
「彼こそが伝説のミラクル地球人だったとは…」
秋季が信じられないといった顔で小太郎を見ている。
「ミラクル地球人、バットで戦うのね…先生度肝を抜かれた気分」
「ミラクル地球人、怒りで我を忘れてますわ」
「ふんがー‼」
最後の一体の頭蓋を砕いた小太郎。
肩で息をしながら墨で黒くなったバットをスッと夏男に向けた。
「ラストバトルだぜ…マスター」
「えっ?」
「最後の戦いです‼」
「えっ? お前等は?」
「いや…会長先輩、マスターを指してるぜ」
少し立ち位置を横に逸らしてみた夏男。
ツツツッとバットの先が付いてくる。
「なっ、指名だろ」
「うぉぉぉぉぉー‼No1を本指名とは、身の程知らずにも程がある‼ やってしまえ我がパダワン青海よ‼」
「いや…それは契約に入ってねぇから」
「………では我が右腕、 女幹部スノーフラワー殺っておしまい‼」
「冬香…眠くなってきたです…」
「オマエを殺す…」
小太郎が夏男をキレた目で睨んでいる。
「おおぉ…小太郎会長、殺意が漏れ出してるな~天晴」
「まぁ、心強いですわ小太郎君 遠慮なく殺って構いませんわ ゾンビにもなれないほどに」
「小太郎く~ん フルスイングよー‼」
後方の声援に無言で頷く小太郎。
『ミラクル地球人 佐藤 小太郎』
能力名『バイバイマネー』
偽金作りである。
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