第25話 ばいぶれ~しょん
櫓の炎にバッドを突っ込んで炎を纏わせる小太郎。
「なに? 伝説の剣っぽい感じを出してきてるけど?」
ポンコツ櫓の上から小太郎を指さす夏男。
「ありゃマジだぜ…マスター」
「マジだぜマスター…眠っ」
「ということは…俺…殺られるの?」
「相手は伝説の戦士らしいぜ、会長先輩、カッケーなぁ」
「冬香も伝説のミラクル地球人になりたいです‼」
「なに? ミラクル?」
「おぅ、さっき、あの人達が話してたぜ」
「です‼」
「ん? 小太郎がソレなの?」
「あのオーラ半端ねぇぜ、背筋がザワザワするわ」
「オラ、ワクワクすっぞです‼」
(全然しねぇ…ガチギレしてますやん…)
夏男、正直ガクブルである。
静かなヤツほどキレると怖い。
本来、キレるとはそういうことなのである。
気をつけたいものだ。
「夏男ー‼ そこ動くなテメェ‼」
「動くな? 金属バット持って走ってくるヤツから動くなと言われても? 逃げるに決まってんだろうがー‼ アホがー‼」
櫓から飛び降りると、一目散に逃走を始める夏男。
「待てクソがー‼」
「待つかボケー‼」
ネクロマンサーとミラクル地球人は「殺る‼」「殺られるー‼」の掛け合いを続けながらグラウンドを3周、膝がカクカクしてきて体力に限界が来たのはミラクル地球人の方であった。
こんがりスケルトンとの前哨戦で体力は尽きていたのだ。
「小太郎君、アドレナリンが切れた感じかしら」
「あらっ、ミラクル地球人の活動限界があるのでしょうか?」
「およそ3分です‼」
「光の国の巨人と同じだな」
「M78星雲です‼」
「もしくはボクシングの1ラウンドですわ」
「意外に短時間よね」
いつの間にかシレッと秋季の側に立っている冬華と青海。
見事な鞍替えと言うしかないであろう。
「体力の限界ですかー? ゼハァ…ゼハァ…虚弱体質小太郎さまー‼ ゼハァー…オェッ…」
跪いた『ミラクル地球人 小太郎』をバカにするが、夏男も膝がガクブルである。
「テメェだけは、この手で葬らねぇと気が済まねぇ‼」
バットを杖代わりに、やっと立ち上がって吠える小太郎。
「凄ぇぜ…あの人、会長先輩にどんだけ恨まれてんだ…」
「うむっ、夏男は先天的なスキルで他人に嫌われるように産まれてきたのかも知れんな」
「まぁ、もはや呪いですわ」
「なんか解るです」
「不憫ではあるけど…同情ができないのよね~教育者として失格だわ…どうでもいいけど」
スケルトンが全滅した時点で飽きてきている、その他の面々。
火力の衰えたキャンプファイヤーを囲んで、思い思いの食材を串焼きにしている。
ただの地球人 小太郎が死力を振り絞ってバットを振りかぶる。
「往生せいやー‼」
「ハードラック・ダンス…」
青海が小太郎を指さす。
スケルトンの骨を踏んづけて転んだ小太郎、後頭部を強打して気絶した。
ゆらりと立ちすくむ夏男。
「
ヌラッとした笑顔、ようやくグラウンドに静寂が訪れたのである。
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