第26話 とらべら~

「よっ、俺だよ」

 翌日の昼過ぎ、何事も無かったかのように通わなくてもいい高校へ登校してきた夏男。

「改めて聞きたいんですが?」

「なんだ小太郎会長殿」

「……なぜ、アナタ達は毎日、学校へ来るんですか?」

「ん? 達…ハハハッ、コレは聞き流せないぞ、小太郎会長様、私も入っているように聞こえたんだが?」

「入ってますよ‼ アンタら卒業しただろうが‼ 幾人かのゾンビと一緒に卒業証書貰っただろうが‼」

「うむ…受理したが…それと私がココに来ることとは何か繋がりがあるのか?」

「大ありです‼」

 小太郎が机をバンッと両手で叩き立ち上がる。

「まあまぁ、小太郎会長殿、カリカリしなさんな、また…何でしたっけ? 伝説の…あの…『ピルクル乳酸菌』でしたか?になって、」また倒れますよ、虚弱体質ですか?」

 完全にバカにした言い方で夏男が小太郎を煽る。

「あらっ、『ピクルス料理人』ではなかったかしら?」

「ハハハッ、違うぞ春奈くん、『ミネラル地場ニンジン』だぞ」

「ミラクル地球人だ‼ アンタが言ったんだろうが‼」

「そうだったか? ハハハッ」

「そうだったかしら? まぁ小太郎くんが自己申告してるんだからそうなのでしょうね」

 春奈がニコリと笑う。

「いや…自己申告というわけでは…」

 ガラッとドアが開いて夏海と冬華が入ってきた。

「ヨッす、会長先輩」

「あっミラクル地球人 です」

「小太郎だよ‼ ソッチを間違えるのかよ…」

「小太郎、もう一回ミラクルするです」

「ミ~ラクル‼ ミ~ラクル‼ あソレ‼ ミ~ラクル‼」

 夏男が手拍子でミラクルを促す。

「うっせぇんだよ‼」

 小太郎が夏男の胸ぐらを掴む。

「おっ…激しい怒りに身を任せるか小太郎会長、またミラクル化するぞハハハッ」

「ミラクルくるくる…今に来る?」

 春奈も小太郎を煽る。

「来ねぇよ‼ 僕は2度とミラクル地球人になんかならないぞ‼」

「会長先輩…ならねぇの?」

「感情に身を任せるです‼」


 ズドーンッ‼

 校舎がグラッと揺れるほどの衝撃。

「なんだ? どうした?」

 夏男が窓を開けてグラウンドを覗き込む。

「どうかしたですか? なんかあったですか?」

「まぁ…地震かしら?」

 春奈もグラウンドを覗き込んだ。

「ちょっとー‼ コッチ着てちょうだーい‼」

 グラウンドの中央で立花先生が呼んでいる。

「何かあったらしいな」

 秋季が生徒会室を出ていった。

 ゾロゾロとグラウンドに集合して立花先生が指差した場所には…。

 裸で蹲る筋肉ダルマ。

「なんかこう…ムチッて感じだな」

 秋季が扇子で筋肉ダルマを指す。

「この人誰でしょうか?」

 小太郎が立花先生に尋ねた。

「さぁ? なんか先生、保健室で空を見ていたらバチッと光ってズドーンッと落ちてきたのよ~」

「空から? 嘘だ~」

 夏男が笑う。

「嘘じゃないわよ‼」


(今度のトラブルは空からか~)

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