第82話 ど~ず・ひ~・い~と・み~と
気づけば河童に囲まれているバス車内。
「なんか…ゾンビより圧が強いですね」
小太郎、周囲のゾンビ化に気づいた、あの時以来の衝撃である。
「ホントにいたのだな~河童、いやはや驚きを軽々と超えてきたな~ハッハッハッ」
「ですわ‼ これはもう衝撃ですわ」
春奈、なぜか嬉しそう。
「先生…気味悪いんだけど…アレ、襲ってこないかしら?」
立花先生、言いつつも缶チューハイをプシュッと空ける。
「そうだ‼ 侵入を防ぐんだ小太郎、これは籠城戦になるぞ‼」
夏男の中では河童は敵であるようだ。
「ハッハッハッ、夏男よ、古来、籠城とは援軍在りきの戦法だぞ、我々に援軍などない‼」
「……じゃあダメじゃないですか…もう…」
「まぁ、心配いりませんわ、かくなるうえは攻めればいいのですわ」
「先生、感心しないわ…泥沼というアウェーで多勢なのよ…勝ち目がないわ」
「河童の強さは未知数だからな、小太郎会長、ひとつゾンビ運転手を車外に放り出して様子を見てみようではないか」
……満場一致でした。
「あうぁ…うあぁ…うぁ?」
「せーの‼」
力を合わせてゾンビ運転手を窓から沼へ捧げてみました。
ドプンッ……
落とされたゾンビの周りに集まる河童。
「上から見ると皿ないんですね」
小太郎が繁々と観している。
「うむ、そうだな…なんか残念だな」
「まぁ、甲羅もありませんわ…ほとほと期待外れですわね」
「緑でくちばしがあるだけかよ‼ インパクトに欠けるんだよな‼」
「そうね、アヒル口の緑ってだけじゃぁね~、アイドル崩れがタイツ着てるレベルよね~先生ガッカリ」
「……皆さん、緑は、すんなり許容できるんですね」
「うむ、ところで小太郎会長…泥からゾンビというのは、またインパクトが強いものだな」
「まぁ、もはや一体化しているかのようですわ」
「そう?先生は混ぜるな危険って感じがするわよ、モゴモゴ動いて不気味さが増している感じ」
「河童、ゾンビを襲わなねぇなぁ…食わねぇのかな?」
「えっ? 食うと思ってたんですか?」
小太郎、夏男の思惑にビックリである。
「まぁ河童は草食ではありませんの? ほらっキュウリが好物って…ねぇ」
「おいおい春奈、バカ言っちゃあいけねぇぜ、じゃあ何のためにゾンビを放り込んだんだ?」
「まぁ!? 少なくとも食わせるためではありませんわよ‼」
「ハッハッハッ、よいではないか、食うか食わないかは河童さん達次第だ」
「いや…僕が思うにですね~もし雑食だった場合…僕たちも危険だということにならないかな~と…」
「そうよ‼ 小太郎くんの言う通りよ‼ 先生もソコをしっかり見極めたいわ」
縦に沼に突き刺さったバスの車内で取り残された4名、沼に放り込んだゾンビを注視する緊張感に包まれていた。
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