第71話 ゆ~ま・はんた~
「全員整列です‼」
早朝4時、校門前集合
「先生、別に行きたかないわよ…」
立花桔梗、それでも化粧はしっかりしてくるあたりは立派である。
「本日はお日柄も良く、河童捕獲に恵まれた天気となったのです‼」
探検服に身を包んだ冬華が空を指さす。
どんよりした空模様、いつ雨が振り出してもおかしくない天気。
「なるほど、河童日和というわけか、いやはや盲点だった、ハッハハハ」
「そうだな、なんかヌメヌメ、ジメジメしたところが好きそうだもんな河童」
「まぁ、ゾンビと一緒ですわ」
「いや…ゾンビとはまた違うような…」
「そうですよ、春奈さん、ゾンビは乾燥するとミイラになって、腐敗が進むとスケルトンになるんです、未来でそう習いました」
「そう、そしてこんがり焼くと黒スケルトンになる、これ常識」
「ん? 夏男? 呼んでないのに、なぜここにいるんだ?」
秋季が不思議そうな顔で夏男に尋ねる。
「俺に連絡が回らないのは、いつものことだ、こんなこともあろうかと生徒会室には盗聴器を仕込み済みなんだぜ、恐れ入ったかバカ共がー‼ アッハハ…あれ? なんで涙がでるんだろう?」
しっかりと探検服に身を包んだ夏男、泣き出したので仕方なく連れていくことにした。
「違う、そこを右折…あっ通り過ぎちゃった…じゃあ次を右ね、右だよ、解る?」
「あぅ…おあっ?」
「そう箸を持つ方ね」
例によって小太郎がバスの運転手に道案内をしながら目的地へ移動中である。
「どこにいくのか?ですか? 河童は川か沼にいるのです、海にいるのは河童じゃないのです‼」
そんなボヤッとした情報で出発したので、とりあえず、クソでかい池のある神社を目指すことにした小太郎。
「もう、どうせいないんだから近場でいいですよね?」
「あらっ? そうとも限りませんわよ、ゾンビもいるんだし」
「そうだぜ、会長パイセン、ミイラもいるらしいし、スケルトンもいるんだぜ」
「それは、ベースがゾンビだからだよ…青海くん」
「いいじゃない、皆で遠足に来たと思えばさ、皆でさ」
やたら『皆で』を強調する夏男。
ゴリンッ…パキンッ…
後部シートを独り占めしている隊長冬華、エサだと言って持ってきたキュウリに味噌付けて無言で食べている。
「小太郎くん、どこに向かっているのか先生知らないけど、河童のいるところに向かっているんでしょうね?」
立花桔梗、白衣にハイヒールであった。
「先生…河童ってどこにいるんですか?」
「ハッハッハ、小太郎会長よ、河童の生態も知らずに生徒会長は務まらんぞ~」
イラッとした小太郎
「じゃあ教えてください前会長」
「うむ、川か沼だ‼ ハッハハハ」
もう会話に疲れた小太郎、感情を殺して神社へのナビを務めることにしたのだ。
(逃げちゃダメだ…逃げちゃダメだ…ダメなのかな? シンジくん)
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