第65話 あうと・おぶ・れぎゅら~
「ほぉう…そんな有名な人だとは、ソコで食い逃げとは我々もやるもんだな、ハッハハハ」
「さすが冬華です‼ 見上げた所業に感服です‼」
よく解らない自画自賛をする秋季と冬華。
「あっ…ちなみに、この黒ひげナントカはそもそも樽に縛られた海賊をナイフで縄を切って脱出させるゲームだそうです」
黙々と調べていた向井君情報である。
「まぁ、そうなると飛び出せた人が勝ちということになりません?」
「そうなりますよね…仲間を救ったということですからね」
小太郎も納得である。
「そんな樽で縛られるような奴、助ける価値ってあるのかよ?」
「あらっ、ソレをゲーム感覚で助けるってとこが海賊なのですわ」
春奈は、ゲームのコンセプトに納得できているようだ。
「で…私の名前は、どうなったアルか?」
「ん?名前が解ったからどうだって言うの? 炒飯しか作れない家系だってことが解っただけじゃない、事実スルメも焼けないし」
大分、酒が回ってきている立花先生。
「冬華、タンタンメン食べたいです‼」
「そうだぜ、せめて餃子くらい焼けよ‼ 周‼」
「何を盛り上がっているのか知らないが、土産物は充実していたよ、賞味期限が切れているものが多かったけど」
紙袋を両手にぶら下げた田中さん合流。
「ところで…僕の御膳が無かったんだが…」
「そうか‼ なんで周さんの分があったんだと思ったら、アレは田中さんの分か‼」
小太郎がハッと気づいた。
「アイヤー、ソレは悪いことをしたネ、ワタシ食べたアルよ」
「冬華がオリーブでイタリアンにしたヤツです‼」
「ビシャビシャのヌルヌルで残ってんじゃねぇの?
ガラッ‼
「違うだろうがー‼」
部屋のドアが乱暴に開いて夏男が叫びながら入ってきた。
「その御前の飯は~俺のでしょうがー‼ このバカチンがー‼」
「ハッ‼ そういえばそうなのか? 後から、もう一人来るって言いましたもんね」
小太郎が間違いに気づく。
「冬華その、もう一人が夏男だとは言ってないです‼」
「そうね、ソレは本当にそうね、誰も夏男君だとは言ってないわ、先生どーでもいいけど 小太郎君、エイヒレ炙って、先生チューハイから日本酒にギアを上げるわ」
「ハッハハハ、小太郎会長、間違っているぞ、そもそも2名が後から来るが正解だったんだ、ハッハハハ、まぁどっちかを忘れていただけだがな」
「小~太~郎~、まさか俺を忘れていたわけじゃ~ねぇよな~‼」
夏男が修羅の形相で小太郎に詰め寄る。
「小太郎君、君は僕を忘れるような人じゃないよね?…ねっ?」
田中さんが不安げに小太郎を見ている。
総じて面倒くさい状況に追い込まれた小太郎が苦悩している。
もちろんエイヒレは炙っている。
「コレをどうぞ」
向井君が走って部屋に戻ってきた。
ビシャビシャでヌルヌルの御前を持って…。
「あっ冬華のイタリアン刺身です‼ 食うです‼」
ビシャビシャでヌルヌルの御前を前に絶句する2人であった。
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