第64話 ほわっちゃ・ね~む?
排水溝に詰まるゾンビから剥がれた肉片の処理に頭を悩ませる夏男。
そんな夏男のことなど完全に忘れている面々。
店主も混ざって『黒ひ〇危機一発』に興じている。
「僕の時代には、コレは無かったです…」
自称未来から来た筋肉ダルマ向井君がカルチャーショックを受けている。
「まぁ、そうですの? お気の毒ね」
「気の毒ってほどでもねぇと思うけどな…コレが無くても」
ポンッ‼
「うがっ‼ 冬華…負けです」
「ハッハハハ、ところで…コレで負けたから?」
「えっ?」
小太郎が秋季に聞き返す。
「いや、だから負けたらどうなんだ?」
「はい?」
「罰ゲーム的なことかしら?」
立花先生、すでに酒が入っている様子。
「いや…そういうことではなくて…なぜ下っ端と思しき海賊がポンッで負けなのか?」
「海賊を刺したからじゃね?」
「いや…違う…樽の中にいる海賊を刺しにいってるのはコチラ側なのだ、むしろ指したら勝ちじゃないのだろうか?」
秋季が、いつになく真面目な顔で悩みだす。
「いい着眼点ね、秋季君、どんどん進めなさい、そして店主‼ スルメを焼きなさい」
「スルメ? イカの姿干しのことアルか? 焼く? バーナーでアルか?」
「面倒くせぇな~、コレで炙っとけ‼」
青海が七輪を指さす。
「乏しい火力アルな~」
「何でも火柱立てりゃいいってもんじゃねぇんだよ‼」
「料理は火力アルよ‼」
「生魚文化に対する挑戦か‼ この……この…オマエ…名前は?」
青海が唐突にトーンダウンした。
「名前? ネーム、アルか?」
「なんでソコだけ英語なんですか?」
小太郎がスルメを炙っている。
イライラしている酔っ払い立花 桔梗が視界に入ったのだ。
「冬華、聞いてなかったです‼」
「うん…誰も聞いてないんだよ意外にもね」
「まぁ、驚くべき事実ですわ」
「そうね、こんな世界において貴重な生存者に興味がないとか先生、どうかと思うわ…小太郎君、炙りすぎよ」
興味が無いことに疑問は抱きつつ、スルメの炙り加減の方が気になる立花先生。
「うむ、で? 店主、名前は?」
秋季が扇子をマイクの代わりに店主に差し出す。
「改めて問われると…今更感が否めないアルが…私は『
「周…なんか聞いたことあるような…」
小太郎の記憶に掠る名前である。
「まっ…まさか…あの伝説の炒飯しか作らない中華料理人の?」
青海の記憶にはHITしたようだ。
「まぁ、存じてますわ、ご無沙汰してます…炒飯と言えばお馴染みの周家の人でしたの?」
春奈は面識すらあるのかもしれない。
「祖父は有名だったアルよ」
同時刻…露天風呂では。
排水溝に詰まったゾンビの肉がポンッと夜空に飛び出した。
「逆流したーーーー‼」
夏男が夜空に遠吠えした。
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