第46話 ぴくちゃ~・だいあり~
「本命登場ですわ‼」
青海にグルグル回された春奈。
フラフラしながらも斧はしっかりと握られている。
「おいでなさいませ‼ ミラクルパワーですわ‼」
千鳥足でフィールドに侵入する春奈。
すでに冬華の誤射と向井の進撃でフィールドは真っ赤に染まっている。
スイカの汁とゾンビ後で…。
「なんか招きだしたわよ、あの娘」
「あんな真っ赤な場所で…悪魔でも呼びそうですね」
「スイカで呼び出される悪魔?何を恐れるものぞ、この一ノ瀬 秋季が成敗してくるわ‼ ワッハハハー」
「秋季さんのゴッドイーター闇属性だからダメでしょ…」
「そうね、残念だけど、今やこの世には闇属性しか存在しないのよ、繰り返し残念だけど」
「ソコですわー‼」
春奈の斧が勢いよく夏男の横に転がるスイカを真っ二つに裂いた。
「ハズレでぇす‼ 春奈ザマないです‼」
「まだまだですわー‼」
「おい、2撃目があるのかよ‼ そりゃズルいぜ先輩よー‼」
「そうよ‼ 審判として警告するわ‼ そこのバカ乳‼ 反則よ‼」
「先生…審判だったんですか?」
「そうよ‼ ギャラリーは黙って冷めたヤキソバでも食べてなさい、この場は…いや、あのバカ乳は、私が仕切るわ‼」
「バカ乳? 誰の事ですの!?」
「春奈のことです‼ 胸にスイカぶら下げてる春奈の事です‼」
「先生、力づくで止めるわ、あのウォーターメロン娘を‼」
「熟れたメロン? 誰の事ですの!?」
「売れないメロンです‼ 春奈のことです‼」
「誰が売れないんですの!?」
「その、ぶら下がったスイカ、今、もぎ取ってくれるわー‼ 教師としてね‼」
「ブラの価値を下げるスイカ、撃ち抜くです‼ 青海‼ 弾‼」
眼前で繰り広げられる女の三つ巴…。
男達は思った…。
(戦いは飽きたのさ…)
3人が力尽きて砂浜に倒れる頃、夕日が赤く海を染め上げた。
砂浜はスイカと地で真っ赤に染まっていた。
満ちてきた海岸と砂浜の狭間、その中心で夏男の赤い顔が静かに沈んでいく様を男達は、ただただ見ていることしかできなかった。
不思議と助けようとは思わなかった。
だって夏男は笑っていたから…汚い笑顔を残し夏男が海に沈んで、夕日も沈んだ。
夜の帳に包まれた海岸、潮が引くと真っ赤な砂浜はいつもの海岸に戻っていた。
スイカもゾンビもいない…カニもエビもいない…
「オーキュベーキカー‼」
ただ一人残された夏男だけが浮かぶ月に復讐を誓っていた。
この夏の日は『ウォーターメロン事変』と小太郎が生徒会史に書き記すこととなった。
それは1名の被害者も出さずに終息したことが奇跡のような1日だった…そんな書き出しで始まる、真っ赤な絵日記の1ページである。
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