第42話 うぉーた~めろん
夏男がゾンビに襲われている最中、冬華と青海が着々と準備していた夏のイベント。
「スイカ割りです‼」
「海でやることは、コレしかねぇぜ‼」
自前であろうことが一目で解る、使い込まれた木刀を構える青海。
砂浜に転がるスイカ達。
「まぁ、スイカは解るのですけど…アレは何ですの?」
春奈がスイカに混ざって砂に埋められたゾンビの頭部を指さす。
「スイカは当たりです‼ ゾンビはハズレです‼」
「頭をカチ割らねぇように気を付けな‼」
「赤いのが飛び散るのは一緒です‼」
「ハズレを叩いたら罰ゲームだぜ‼」
「罰ゲームとかあるんだ…僕、嫌な予感しかしないんだけど」
思わず生唾を飲み込んだ小太郎。
「斬新なスイカ割りだな、いや天晴‼」
「生き物の頭部を叩く可能性のあるゲームですからね…前代未聞ですよ」
「先生、人道的にどうかと思うのよ」
「ゾンビは生き物に入りません‼」
冬華が胸を張って答える。
「死んでるからな‼ 少なくても1回」
「まぁ強いて言うなら…生き物ではなくてもナマモノではありますわ」
「腐るからな‼ ハッハハハ」
そんな会話をしている間、無言でせっせと砂浜にゾンビを埋めている向井くん。
「アレ…生き埋めって言うんですかね?」
「先生、感心しないわよ、生き埋めとか」
「死んでいるから生き埋めではないのです‼」
「そうだぜ先生、死んだら埋める‼常識だぜ‼」
「物は言いようですね」
「準備できました」
向井くん、せっせと働いて砂浜に、いい感じでスイカとゾンビを散りばめている。
「なるほど…説明してもらおうか?」
スイカとゾンビに混じって、喋る生首がひとつ…
「夏男? どうして生き埋めに?」
秋季が首だけ砂浜からニョキッと出ている夏男に気づいた。
「俺が聞いてんだよ‼」
「アレは大当たりです‼」
「あぁ、アレにヒットしたらボーナスだぜ‼」
「大当たりなんだ…」
「俄然、やる気がみなぎってきましたわ」
「そうね、先生も不思議なエナジーが湧いてきたわ」
「あぁ、武器は色々用意してあるから、好きな武器を選んでくれ‼」
「まぁ準備がいいことですわ、斧一択で頼みますわ」
「先生は…巨大なハンマーあるかしら?」
「やるからには皆、大当たり狙いということか、ハッハハハー、こりゃ夏男、今度こそ死ぬな‼」
「No-ーーー‼ 遺憾の意を表明するーーー‼」
砂浜に放り出されたスイカに散らばる埋められたゾンビが首だけ出して呻いている。
その真ん中に埋められた夏男。
「なぜ俺を中心に配置されているんだーーー‼ 悪意を感じざる得なーーーーい‼」
(確かに…)
無言で頷く小太郎。
夏男を中心に配置されたスイカとゾンビ、冬華と青海の悪意が牙を剥いた夏男割り…いやスイカ割りが開始されようとしていた。
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